政策提言-6 電線地中化の一層の推進を!

今回の大地震では、多くの電柱が倒れたり傾いたりして停電が相次ぎ道路の障害物になった。
また、福島第一原発付近でも高圧線の鉄塔の倒壊によって電力が切断されたのも今回の問題の一因になった。

従来より、都市美化の観点から徐々に電線地中化は大通りでは進みつつあるが、
今回の大地震で防災の面からも一層の推進が必要ではないだろうか?

高圧線鉄塔から住宅地の小路まで電線地中化の一層の推進を望みたい。

緊急政策提言-1 停電を回避する画期的な方法。

今日は停電が起きるのかとなんとなく不安な毎日を送っている人は多いと思います。そして、停電対象地域では住宅だけでなく生産施設も一気に停止し経済的にも大きな影響を受けています。

では計画停電をせずに電力消費を減らす方法はないのでしょうか?

実はあります。しかも簡単に。

節約好きな日本人が思いっきり過剰に電力を消費している場所があるからです。
それはオフィスビルの事務所内です。

通常、オフィスビルの照度の設定は机上で700ルクスから1200ルクス位あります。
一方、住宅の居間は300ルクスから500ルクス程度です。

私は以前から日本のオフィスの照明は明るすぎるのではないかと思ってきました。
最新のオフィスの設計では机上で1200ルクスの天井照明があり、さらに各デスクのライトがあり、その上自ら発光するパソコン画面を見て作業をしています。
これはあまりにも過剰ではないでしょうか?

自宅の居間で普通に新聞や本を読んでいるお父さんが、なぜオフィスではあそこまで明るい環境にいなければならないのでしょうか?
これは必要なのではなく何かオフィス空間が均質に明るくならなければならないという暗黙の常識に支配されているだけなのです。

従って答えは簡単です。全オフィス内の照度を机上で500ルクス程度に抑えればよいのです。

よく待機電力を抑えるためにコンセントをはずせなどと報道していますが正直これは微々たるものですし、使用する場合はどうしようもありません。

オフィスの天井照明をこの程度減らしても業務に影響があるということは全くないでしょう。なぜならヨーロッパのオフィス環境と同程度になるくらいだからです。

また対策も非常に簡単です。多くのオフィス内の照明は棒状の蛍光灯ですので半分程度をとりはずせばいいだけです。そうすれば定常的に電力消費を抑えることができます。

そして都内でも近郊でもオフィスは膨大な数あります。
この効果は大きいでしょう。

ぜひ検討をしてほしいと思います。

政策提言-5 震災復興。歴史の再生を!

甚大な被害と多くの犠牲者を出している大震災ですが、
今後様々な復興計画が作成されていくと思います。

これからの復興に際しぜひその基本的な構想としてほしいことがあります。
それは、
□東北の歴史と伝統を生かした風景をとりもどす計画であること。
□こうした歴史の再生と、防災と安全性の両立をめさすこと。
□安全に避難できる拠点を小さな街区ごとにつくること。
□将来への文化と観光的資源になることを念頭におくこと。
□大規模堤防などの土木的な方向に安直に行かないこと。

今のところ気がついていることはこのくらいですが、
日本では今まで、災害や戦争のあとにも文化や歴史を全く考慮しない復興が常でした。
成熟した社会として今度こそ自分達の歴史と文化を最大限尊重した
復興が行われるべきと思います。

政策提言-4 外国人の日本旅行からみえる日本の政策上の問題点

先日、パリから20年来の友人家族が初めて日本旅行に来てくれました。東京と京都に計2週間の滞在でしたが、彼等の日本の感想は興味深いことも多かったですね。さすがフランス人らしく日本の歴史や自然にはかなり興味を持ってくれ大いに楽しんでくれたようです。
以下いくつか政策にかかわる感想を記したいと思います。
1.日本の物価は思ったほど高くはない。ただ交通費がとても高い。
2.街中に電線が多い。大きな通りは埋めてあるところもあるが、
3.都市計画がない。建物の大きさも高さもデザインもバラバラ。
なかなか耳の痛いところもあるが、さすがにパリと比較されると納得せざるを得ません。そしてこれらは日ごろ誰もが感じているところです。こうした感想はこれからより魅力的で快適な国にしていくヒントにもなります。

政治に物申す-1 政局より政策を!国会議員はちゃんと法案をつくれ

経団連会長が、昨今の政治家を税金泥棒とかいったそうだ。
なかなか過激であるが実際同感する国民は多いのではないか?

国会中継を見ても政策のつっこんだ議論はされず野党も総理の揚げ足をとるばかり。こんな人たちに多くの税金がつぎ込まれていることにほんとに疑問を感じます。

国会はそもそも法律をつくるところではないのですか?
行政が法案をつくりそれを通すか通さないかだけの政局まみれの議論しかない国会は不要だ。
もっと政策の議論をしてほしい!
ねじれ国会だからこそ、国会で政治家同士の議論で法案ができるのではないですか?これだけの債務を負った日本で百点満点の政策が難しいことなど国民はわかっている。与野党が歩み寄り少しでも国民が求める政策を実行してほしい。

これからの日本は政権交代も起こるし衆参のねじれも起こる。
そのような事態でもうまく機能するように考えるのが全国会議員の義務であり役割ではないのでしょうか?
日本人てこんなに愚かな国民なのかと憂鬱になります。

政策提言-3 公共事業;発想の大転換を!

日本の公共事業は、道路、港湾、橋、ダムなど土木系の事業に大きく偏っている。しかもその額は個別にも数百億から数兆といった途方もない額である。バブル崩壊後も自民党政権によって土木事業に途方もない金額がつぎ込まれた結果、日本の借金が膨れ上がったのもまぎれもない事実である。昨年の衆院選では自民党政権の土建体質につくづくいやけがさし民主党に投票した国民も多かったと思う。私は公共事業が全て悪とは思わないが、その内容は全面的な変換が必要だと思っている。まず公共投資額の国と地方の総額に対して、対GDPのシーリングを設けるべきと思っている。そうすれば税収に対し、むやみに巨大化することはなくなる。個人的には対GDP比で2%程度。だいたい欧州諸国と同等である。日本は自然災害の復旧予算も必要なので2%を少し超えてもよいかも知れない。いずれにしても現在よりはさらなる減額が必要である。さらに内容も旧来の土木型から、文化・環境型へと大転換を図るべきである。そのためには正直旧来の土木型公共事業は新規事業を全て停止すべきである。実は今までに建設しているインフラのメンテナンスだけでも今後巨額の費用が必要になる。皆全く議論されないが全てのコンクリート構造物あるいは鉄骨構造物には当然寿命がある。100年程度でコンクリートの中和が進み強度が著しく減少する。鉄骨はメンテを怠ればさらに短くなる。すなわちメンテナンスやリニューアルの規模がこの先大変な額になるのである。それから、観光立国をかかげる政府であるが、観光の目玉とはやはり訪れた街の文化遺産やその地域の特長ある歴史的街並が大変重要な観光資源である。ヨーロッパ諸国の公共事業とはこうした古い町並みの保存修復そして再生に多くの予算が使われているのである。日本は残念ながら戦後の60年間、歴史的街並や文化的環境の保護は本当に微々たるものでしかなかった。これから日本も観光立国を目指すなら各地方地方に残る古い町並みを積極的に保存再生し、それに多くの予算を当てるべきである。これらの予算は旧来文化庁の予算であったが、私は本来、国土交通省の予算を当てるべきと考えている。それはこの国の環境と景観を形成する構築物は全て文化的・歴史的価値も持つという意識が必要だからである。ちょうど観光庁は国土交通省の管轄である。この国の歴史的文化的環境の保存再生こそ今後の公共事業の主体となるように政策転換を図るべきである。それは官僚ではなく政治の力とそれにふさわしい陣容をそろえるしかない。大分よろよろの民主党政権であるがこの点は多いに期待しているしがんばってほしい。

政策提言-2 高速道路無料化を支持します。

民主党政権が誕生しました。
その公約のひとつが高速道路無料化ですが、意外に現在国民の支持は受けていないようです。
私は仕事がら車でよく地方までいきます。例えば新潟などは関越道を使って今まで合計200往復くらいはしていると思います。
東北自動車道をつかって青森までいったことも数度あります。その他関東周辺地域も日常的に高速を利用しています。

有料か無料かを問う前にまず、日本の高速道路料金がいかに異常な高さかを国民が理解する必要があります。
各国とも無料区間と有料区間がありますが、ドイツやアメリカはほぼ無料、フランスとイタリアの有料区間も日本の1/3から1/4程度です。

こうした国民生活からはるかに離れた料金体系の結果、巨額の資金を投じ建設した高速が地方でほとんど使われないという状態をつくっています。

以下は私の実体験です。
1)新潟では高速とバイパスがちょうど平行に走っています。バイパスはかなり混雑している横で高速は常にガラガラ状態です。おそらく地元の人々の消費感覚からしても利用できない料金なのでしょう。いったいこの高速は何のためにつくったのかと素朴な疑問がわいてきます。

2)また青森にいったときは、30分くらい進行方向も対向斜線も全く他の車に出会わなかったことを記憶しています。普通に平日の昼間です。

利用されない道路を建設することほど、非効率なことはないのではないでしょうか?なぜなら経済波及効果がゼロですから。

民主党政権の高速無料化政策を推進していくには、今までの高速道路建設と料金体系の非常識さを国民ひとりひとりが再認識していくことが必要であると思います。そして「日本の常識、世界の非常識」の殻をやぶっていくことが国民に求められています。

政策提言-1 駐車場の地下化を推進し、緑の街をつくろう。

日本の諸都市では、建物の建つ敷地のオープンスペースの大半が駐車場に占められています。もし、この駐車場が地下化できれば、そのスペースは緑の公園として生まれ変わることができます。どうしてこうならないのでしょうか?
 あるマンションメーカーの方によれば、駐車場の地下化をしたいのはやまやまだが、その分コストアップにもなり、厳しい価格競争のなかでやりたくてもできない、とのお答えでした。例えばパリ市などのように、法律で地下駐車場を義務付けるという方法もありますが、規制強化よりは、地下化し地上部分の緑化に貢献するとボーナスを与えるなどして、自然と誘導していくほうが日本では馴染むかもしれません。
考えられるのは、容積率アップや資金補助、税制上の優遇、など環境と景観の向上に行政の積極的な役割を期待しています。

連載 美術画報no.20ーno.29

朝日美術通信社

美術画報no.20 連載-1「フランス・都市空間の魅力パリのパサージュ」
 1999年3月31日号 p.116-117
パリのガラス屋根のアーケード街の魅力について論じた。

美術画報no.21 連載-2「フランスの都市建築、パリのファサード」
 1999年6月30日号 p.106-107
パリの都市建築のファサードの変遷とその魅力を論じた。

美術画報no.22 連載-3「パリの広場、都市の居間あるいは文化の交差点」
 1999年8月31日号 p.68-69
パリの広場の役割とヨーロッパ都市における広場の歴史的に意義を論じた。

美術画報no.23 連載-4「パリの地形、セーヌそして丘」
 1999年11月10日号 p.138-139
パリの自然地形と都市計画におけるモニュメント等の関連性を論じた。

美術画報no.24 連載-5「パリー都市の境界領域」
 2000年1月20日号 p.162-163
パリの市壁の拡張による都市領域の変遷を論じた。

美術画報no.25 連載-6「パリーモニュメントあるいは顕在化する象徴性」
 2000年3月10日号 p.116-117
パリのバロック的な都市計画とモニュメントの役割について論じた。

美術画報no.28 連載-7「オースマンのパリ(1)」
 2000年9月20日号 p.190-191
19世紀のオースマン計画の背景とその内容を論じた。

美術画報no.29 連載-8「オースマンのパリ(2)」
 2000年11月20日号 p.242-243
オースマン計画の実践によってパリはどう近代都市として生れ変ったかについて評価を行った。

寄稿3 美術画報no.22 「21世紀への設計図デ・スティルが目指した建築の普遍性」

朝日美術通信社1999年8月31日号

p.202-205デ・スティルの思想とその根底に流れるもの、また代表作品のいくつかを論じた

寄稿2 美術画報no.19「フランス最新文化案内パリ日本文化センター」

朝日美術通信社1998年12月10日号

p.81-87 パリの日本文化センターの内容について館長の磯村尚徳氏のインタビューも踏まえ紹介した。

寄稿1 美術画報no.18「パリ、メディア建築」

朝日美術通信社1998年8月31日号

p.51-58 パリのグランプロジェにおける建築のメディア性について論じた。

コラム5 日経デザイン、コラム「仮面としての文化、多摩ニュータウンの街区デザイン」

日経デザイン 1997年8月1日号

p.52-53 多摩ニュータウン大沢地区のデザインを現地調査を元に論じた。

コラム4 JIA NEWS、コラム「パリ、東京3LDK比べ。」

新日本建築家協会会報誌 1996年6月15日号

p.27 パリと東京のアパートの間取りを比較調査している。

1998年8月10日発行黒沢 隆著「集合住宅原論の試み」にも掲載されている。

コラム3 神奈川新聞、コラム「伝統と前衛の融合、パリ」

神奈川新聞社3面

パリの都市計画のエッセンスを紹介

コラム2 建築文化、展覧会評「一国平和主義の建築展」

彰国社建築文化

p.12建築家展の評論

コラム1 建築文化、コラム「真夜中のラ・ヴィレットから」

彰国社建築文化

p.12 深夜のラ・ヴィレット公園を歩きながらそのコンセプトを論じた。

海外取材レポート 日経アーキテクチャー海外取材レポート「パリの集合住宅の新展開」

日経アーキテクチャー

p.174-189現地取材、インタビューを通じてパリの最新集合住宅を紹介、分析。

著作5 日仏工業技術47号「フランスの建築都市計画」特集号

日仏工業技術会 2001年7月号

論文「ジャン・プルーヴェに見る建築家の未来像」p.66-72

共同執筆者;三宅理一、鈴木隆、望月真一他5名

著作4 SD特集「中世の光と空間、フランス中南部のロマネスク建築」

鹿島出版会SD 特集号

論文「ロマネスク建築がつくる景観構造と空間性」p.22-25

ロマネスク建築が西洋的な風景構造の原点にあるという視点と、ル・トロネ修道院を中心としてロマネスク修道院の建築空間を論じた。

共同執筆者;羽生修二、饗庭孝男、鈴木了二、他5名

著書3 産業調査会編「インテリア」

産業調査会編集によるインテリアに関する全7巻の著作

私は第1巻p.214-215「パリの市民生活とインテリアの変遷」について執筆

共同執筆者;磯崎新、安藤忠雄、近江栄、他全93名

著書2 横浜市主催国際都市デザイン会議調査報告書

横浜市の都市デザイン国際会議にあわせて発刊
横浜市都市デザンフォーラムの推進研究グループのフランス担当として、パリ、ニーム、モンペリエ、リールの4都市の都市デザインの状況についてについて現地取材をもとに執筆
担当部分p.22-25、p.38-41、p.108-112、p.126-138
共同執筆者;土田旭、大方潤一郎、倉田直道、他全14名

著書1 プロセスアーキテクチャー83「メトロポリス パリ2000」

建築雑誌プロセスアーキテクチャーのパリ特集

パリの都市と建築、生活などを多角的に論じた。
私は、パリの都市建築のファサードの歴史的な変遷
パリのパサージュと呼ばれるガラスのアーケード街について執筆。
また、多くの写真を担当した。
共同執筆者;岩岡竜夫、マニュエル・タルディッツ、クレール・ガリアン

Essay 1 建築から都市へ

ひとつの建築を考える時も周囲の街並や環境、地域の歴史や文化との関係性からデザインを導きだしたい。そして建物ができることによって周囲の環境もより向上していきたい。

 こうした考え方が私の建築に対する基本になっています。 

日本は戦後、経済的には急激に発展してきましたが、その一方、古くからある街並や自然環境は破壊の限りをつくしてしまいました。「開発と発展」という甘い言葉の背後で行政も社会も地域の環境や歴史、とりわけ景観などにほとんど注意をはらわなかった結果が今の現状でしょう。

 もうずいぶん以前になりますが、私はたまたまフランスで建築と都市計画を学ぶ機会を得ました。 そこで、パリの街並や郊外の風景などを身近に感じ、その成立を研究することでいかに彼等が歴史や景観を大切にしているかをまざまざと感じました。

 私は、こうした経験も生かしながら、自分の設計する建築が美しい環境や景観をつくる一端を担えればと考えています。