政策提言-3 公共事業;発想の大転換を!

日本の公共事業は、道路、港湾、橋、ダムなど土木系の事業に大きく偏っている。しかもその額は個別にも数百億から数兆といった途方もない額である。バブル崩壊後も自民党政権によって土木事業に途方もない金額がつぎ込まれた結果、日本の借金が膨れ上がったのもまぎれもない事実である。昨年の衆院選では自民党政権の土建体質につくづくいやけがさし民主党に投票した国民も多かったと思う。私は公共事業が全て悪とは思わないが、その内容は全面的な変換が必要だと思っている。まず公共投資額の国と地方の総額に対して、対GDPのシーリングを設けるべきと思っている。そうすれば税収に対し、むやみに巨大化することはなくなる。個人的には対GDP比で2%程度。だいたい欧州諸国と同等である。日本は自然災害の復旧予算も必要なので2%を少し超えてもよいかも知れない。いずれにしても現在よりはさらなる減額が必要である。さらに内容も旧来の土木型から、文化・環境型へと大転換を図るべきである。そのためには正直旧来の土木型公共事業は新規事業を全て停止すべきである。実は今までに建設しているインフラのメンテナンスだけでも今後巨額の費用が必要になる。皆全く議論されないが全てのコンクリート構造物あるいは鉄骨構造物には当然寿命がある。100年程度でコンクリートの中和が進み強度が著しく減少する。鉄骨はメンテを怠ればさらに短くなる。すなわちメンテナンスやリニューアルの規模がこの先大変な額になるのである。それから、観光立国をかかげる政府であるが、観光の目玉とはやはり訪れた街の文化遺産やその地域の特長ある歴史的街並が大変重要な観光資源である。ヨーロッパ諸国の公共事業とはこうした古い町並みの保存修復そして再生に多くの予算が使われているのである。日本は残念ながら戦後の60年間、歴史的街並や文化的環境の保護は本当に微々たるものでしかなかった。これから日本も観光立国を目指すなら各地方地方に残る古い町並みを積極的に保存再生し、それに多くの予算を当てるべきである。これらの予算は旧来文化庁の予算であったが、私は本来、国土交通省の予算を当てるべきと考えている。それはこの国の環境と景観を形成する構築物は全て文化的・歴史的価値も持つという意識が必要だからである。ちょうど観光庁は国土交通省の管轄である。この国の歴史的文化的環境の保存再生こそ今後の公共事業の主体となるように政策転換を図るべきである。それは官僚ではなく政治の力とそれにふさわしい陣容をそろえるしかない。大分よろよろの民主党政権であるがこの点は多いに期待しているしがんばってほしい。